娘の年齢に関しては、そうだね(笑)。考えてみたらうちの親父も俺ら子どもを「源一郎さん、源さん」とさん付けで呼んでいて、呼び捨てにはしてなかったなって思ってね。いくら娘だからといっても、一人の大人としてリスペクトしなきゃなって考えているんだ。
プロレスラーで大人だと感じて、俺も手本にしているのがリック・フレアーだ。彼はトップレスラーなのに、威張っていなくて、フランクな性格。初めてアメリカに行ったとき、彼の立ち居振る舞いを見て、プロレスで上に立つというのはみんなに気遣いをして、周囲から尊敬されるものなんだということを教えられた。プロレスラーがバーにいる客全員におごるなんてありえないけど、リック・フレアーはしょっちゅうやっていたし、俺もそんな彼をマネしたもんだ。もし、俺におごってもらったことがある人がいたら、礼は俺じゃなくてリック・フレアーに言ってくれ!
相撲で尊敬している大人と言えば、元・佐賀ノ花の二所ノ関親方だね。この方は、横綱の大鵬さんや大関の大麒麟さんがいる二所ノ関部屋の親方ってこともあってか、凛としたオーラを持っていて、読書好きでずっと部屋で本を読んでいるような人。ある時、なぜいつも部屋にいて本を読んでいるのか、その理由を教えてもらったことがある。「俺が部屋にずっといるのは、例えば、若い衆が外で何か不祥事を起こしたとして、その相手が部屋に話をつけに来たとき、トップの親方がいなかったらみっともないだろう」ということだったんだ。「相手が話をつけに来る」のところは「殴り込みに来る」だったかな?(笑)。
今ではトラブルがあっても本人同士で話をつけろとか言って、逃げるトップも多いだろう。「昔のお相撲さん」と言ってしまえばそれまでかもしれないけど、彼には親方としてというよりも、上に立つ人の姿勢、処世とはどういうものかを教えられたね。そもそも、相撲部屋にいて何かもめ事やトラブルがあっても、親方や周りがなだめてくれて本人のところまで話が行かないように守ってくれていたんだ。逆にプロレスの世界に行くと、女性問題でなんでも直接本人のところにくるから、最初は面食らったもんだよ(笑)。