18歳人口の減少により、私立大の経営がさらに厳しいものになると予想される。淘汰されないためには、何が求められるのか。ドリームインキュベータ創業者の堀紘一氏が語る。
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私大は教育力で学生を集めるべきです。最近はスポーツで知名度を上げて学生を集めようとする大学が目立ちますが、正攻法ではありません。商業主義が先行しているのではないでしょうか。
世の中に必要とされる教育を積極的にするべきです。例えば、多くの企業でIT人材が不足しています。もっとIT教育を充実させるべきです。また、文系学生には理系の素養が、理系学生には文系の素養が求められるようになっています。
大学はこうした教育を実現する手段として合併・再編を進めるべきです。文科省もこうした大学に補助金をつけるべきでしょう。自分たちの生活のためだけに経営をしている大学に税金を投入する必要はありません。
これからの時代、私大が発展するには特徴を出していくことが重要です。
同じ大学に似たような学部が二つ、三つあるところがある。学生も特徴がなくて、みんなサークルとバイトと交際に力を入れている。この点では専門学校のほうが、アニメ専門校をつくるなど時代のニーズを捉えています。子供たちの興味関心が強いことを教えることで才能を育んでいます。
欧米のように卒業生も大切にするべきです。寄付をしてもらうためには「支援したい」と思ってもらえるような独自の取り組みをする必要があります。そのつながりから、卒業生が教えに行くということもあるでしょう。こういうところから、その大学の特徴が生まれてくるわけです。
私大は約600ありますが、200もあれば十分ではないでしょうか。これまで量ばかり追いかけて、質が置き去りにされてきたと見ています。
※週刊朝日 2021年1月15日号