甲子園の春夏連覇を達成した大阪桐蔭。その母体である大阪産業大学で、組織ぐるみの不正が行われていた。2009年の入試で、補助金カットを免れるため、付属高校の生徒に受験させて「入学者数」を調整していたというのだ。これに加担させられた学生は、ノンフィクションライター西岡研介氏と週刊朝日取材班の取材に、驚いたようにこう話した。
「ええっ!! 私が、その『不正入試』にかかわっていたって言うんですか!? 私はただあの時、担任の先生から『大産大の偏差値を上げてくれ』と言われたから受験しただけで……。まだ高校生でしたから、それが『学園のためになるなら』と思って受けたんですが……。
『不正入試に加担させられていた』と聞いて、ショックというより、母校に裏切られたという悲しい、残念な気持ちです」
また、当時のことをこう証言する。「08年12月の初めごろに、担任の先生から『大産大の一般入試を受けてくれ』と言われた時は正直、『めんどくさいな』と思いましたよ。だって私はその時、もう今の(在学している有名私立)大学に進学することが決まってましたから。大産大の一般入試なんか、受ける必要ありませんもん。けど先生から『大産大の偏差値を上げてくれ』と頼まれて悪い気はしませんでした。それに『ご褒美もあるから』って。それで私は前期(試験)を3回、中期を2回受けました。もちろん全部、合格しましたよ。その後、(同じく一般入試を受験した)ほかの生徒と職員室に呼ばれて、担任の先生から『ご褒美』の封筒を渡されたんです。封筒には(5回分の)2万5千円が入っていました」。
※週刊朝日 2013年3月29日号