岡本:私は外山さんの前作「ソワレ」がすごく好きで。他の作品も見て思ったことがまず、社会を見る外山さんの目線が柔らかくもあるのに鋭い。どんな方なんだろうと気になっていたら、本作のワークショップオーディションがあると。題材も興味をそそりましたし、チャレンジになるのではと応募しました。
外山:岡本さんはずば抜けて(演技が)うまかった。テレビ、舞台、雑誌といろんな活動をされていますが、その時は映画女優としての認知はまだ少なかったと思います。ただ、映画女優としての骨格みたいなものをとても感じるところがあったので、「ぜひマナに」と思ったんです。まだ見えていない岡本さんのパワーを暴くというか、映画女優として向かい合ってみたいという思いに駆られました。
■痛みや寂しさにものすごく共感
岡本:ありがとうございます。脚本を読んだ時、私はまず高齢者売春という題材、そして話の展開に衝撃を受けたんですが、そんな自分にもショックでした。自分が見えている側面でしか社会を見ていなかったことを改めて知ったので。でも、マナの痛みや寂しさ、どうしようもないもどかしさみたいな部分はものすごく共感できた。この役は私にとってターニングポイントになる。だからこそ、今までの自分の生き方がにじみ出るようなお芝居ができたらいいなと意気込んでいましたね(笑)。
外山:母親との間に問題を抱えているマナがどういう人物か、たくさん話しましたよね。
岡本:しました! まず自分のパーソナルな部分を隠さず話しました。家族をどういうものと感じているか、孤独とはどういうものかとか。そこからこのセリフは何か違うと思いますとか、臆さず意見させてもらって作っていきました。
外山:そうですね。マナを演じるとかマナに近づくとかではなくて、岡本玲さんがマナそのものになるポイントはどこなのか。そこを徹底的に話した中で、岡本さんは自然とマナになっていったと思います。全く無理した演技は作っていないはずです。
岡本:役が決まってみんなの顔見せという時に、演じる役柄をそれぞれ自分で決めてきて発表したことがありましたよね。