若林健史(わかばやし・けんじ) 歯科医師。医療法人社団真健会(若林歯科医院、オーラルケアクリニック青山)理事長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演
若林健史(わかばやし・けんじ) 歯科医師。医療法人社団真健会(若林歯科医院、オーラルケアクリニック青山)理事長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演
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※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 新型コロナウイルス対策でマスク生活が続く中、マスク装着時の口の乾燥や唇の荒れを訴える人が少しずつ増えてきたようです。中には歯科の受診時に「歯ぐきの乾燥」を指摘された人も。マスクによって口の中に悪影響が起こることはないのでしょうか? 歯周病が悪化する可能性は? 『なぜ歯科の治療は1回では終わらないのか? 聞くに聞けない歯医者のギモン40』が好評発売中の歯周病専門医、若林健史歯科医師にうかがいました。

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 コロナでどこに行くにもマスクをする生活が続いています。まだ、感染者数が少ない時期に布マスクをつけてゴルフに行ったのですが、口元に顔の汗が入り込み、マスクの蒸れも加わって18ホールを終える頃にはびしょびしょに。プレーに集中できず、スコアはガタガタでした。

 患者さんにも、最近はマスクの悩みを訴える人が増えてきました。マスクを外すと口元だけが赤くなっていて、かゆみを訴えるなど、「マスクで唇が乾燥するのですが、歯の病気が原因ですか?」という質問もありました(これは歯の病気ではなく、後述の口呼吸によるものです)。

 さて、ご質問の件ですが、マスクをしていると歯周病が悪化しやすいのは本当です。

 マスクをしていると鼻が覆われるので息苦しくなるときがあります。このとき、私たちは知らず知らずのうちに、楽に空気を取り込める「口呼吸」にしていることが多いのです。

 口呼吸が続くと口の中や歯ぐきが乾燥しやすくなります。そして唾液(だえき)が十分にいきわたらなくなります。

 唾液は歯周病予防にとても重要な働きをしています。歯の表面などについた食べカスを洗い流す作用や、細菌の繁殖を抑え、防御する作用、酸性に傾いた口の中を中性に戻す作用など、さまざまな自浄作用があるからです。このため口呼吸になると歯周病はもちろん、むし歯になりやすいのです。

 また、口の粘膜には腸と同じように、「粘膜免疫」という免疫システムがあり、IgAという抗体がからだに害をおよぼす細菌を排除しています。この仕組みには唾液が深く関係しており、口呼吸で口の中が乾燥すると免疫が十分に働かなくなることで、歯ぐきが歯周病菌に負けやすくなることもあります。

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