「好き嫌いがはっきり分かれた。2人ともアマチュア時代からよく知られた存在。巨人入りへの物語性も抜群でキャラクターが立っていた。プロでの飛び抜けた結果はないが、それ以上の強いインパクトを残した。ユニフォームを着ていなくても顔と名前が一致するので、CM起用したがる企業が後を絶たなかった。野球選手と芸能人の距離が縮まり始めた時代のスター。今の時代ならネット上で連日炎上することは間違いないが、それも人気のバロメーター」(大手広告代理店関係者)

 ゴジラの愛称でファンに愛された松井秀喜(現ヤンキースGM特別アドバイザー)は、巨人では最後の“国民的スター”かもしれない。

 日本人離れした体格とイカツイ風貌。見た目とはかけ離れた謙虚な人間性。野球の飛び抜けた実力に加え、高校時代の5打席連続敬遠というストーリーも併せ持つ。真面目なだけでなく、時にウィットに富んだ発言をするなど、お茶目な面を見せてくれたのもファンからすると身近な存在に感じた。イチローと同時期にメジャーリーグで活躍し、国民栄誉賞を受賞した歴史に残る選手だ。

「『今は何を言っても裏切り者と思われるかもしれませんが』というメジャー挑戦会見時の言葉も衝撃的だった。寡黙に試合に出続け、チームのためにプレーする姿勢も日本人好み。野球、巨人の危機が叫ばれる中、監督待望論が強いのも人気の証明。最も愛されているOBかもしれない。松井関連の番組は今でも数字が良い。巨人の中心選手で、他球団ファンから悪く言われないのも珍しい」(在京テレビ局関係者)

 松井以降、巨人に真のスーパースターは見当たらない。だが、現役時代にその領域に近づいたのが高橋由伸(前監督)と阿部慎之助(2軍監督)だった。

 高橋は慶応大からドラフト1位入団のエリート街道を歩んできた。見た目、プレーともにスマートで洗練され、都会的な印象で人気を誇った。阿部は捕手のイメージを覆した強打の捕手。明るい性格で攻守に渡リ大きな存在感を発揮し続けた。国民的とまではいかないが、2人とも間違いなく球団の枠を超えたスタ―選手であった。

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坂本勇人以降はスターが不在?