また、白石麻衣は1月27日放送の「突然ですが占ってもいいですか?SP」(フジテレビ系)で、グループ入りの3カ月後、こんな境地だったことを告白。

「もともとそんな、アイドルになりたくて入ったわけじゃなかったので、慣れない生活と周りについていけなくなって、辞めよう、と一瞬、決心しかけました」

 このふたりの発言から、欲のなさに驚くより、むしろ乃木坂っぽいなぁと感じる人も少なくないのではないか。そういえば、初代センターの生駒里奈もちょっとオタクっぽくて素朴なところが魅力だった。もちろん、乃木坂にもガツガツしたタイプはいるだろうが、グループ全体としてはそういうイメージはない。

 メンバー同士も仲がよさそうで、序列が崩れにくい安定感があるとでもいおうか。それは欅坂改め櫻坂46にも、日向坂46にも共通する印象だ。

 そのせいか、坂道系では卒業後、川栄みたいな大逆転劇を起こすようなメンバーは出にくい気がする。そのかわり、市來玲奈(日本テレビ)や斎藤ちはる(テレビ朝日)のような、大学も卒業して女子アナになるようなメンバーもいたりするあたりが興味深い。それでもいずれは、坂道版の川栄が現れるのだろうか。

 なんにせよ、未曾有のアイドルグループブームが10年以上続いているわけで、すでに大量の卒業者が発生、今後もどんどん増えていくはずだ。そのなかには、想像もしないような転身を遂げる人もいるだろう。アイドルシーンは今、魅力的な女の子たちのさまざまな変化と成長を楽しめるという、ぜいたくな状況を迎えている。

宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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