YouTubeの画面をクリックするだけで、誰もが京都大学の特別講義を視聴できる、昨年話題になったシリーズの 第2弾が2月7日から始まる。刻一刻と変化する現実を、哲学、倫理学、社会学などの人文科学で読み解く試みだ。 シーズン1で講義する出口康夫教授。チャットではコメントや質問が続々と寄せられ、映り込んでいる背景について聞く人もいた
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人気芸能人が登場するわけでもゲーム実況でもない、地味な大学の講義が、YouTubeライブで配信され、ここまで話題になると誰が予想しただろう。
「京都大学オンライン公開講義“立ち止まって、考える”」の第1弾が行われたのは、昨年7月から8月。コロナパンデミックを題材に、人文・社会科学分野の教授陣10人が毎週末、1時間程度の授業を配信した。無料で、事前申し込みも不要。誰もがクリック一つで京大の授業に参加できるとあって、初回はのべ1万5600人がリアルタイムで視聴した。
アーカイブされた動画を好きな時間に見ることもでき、シリーズの累計再生回数は32万回を超える。視聴者は男女半々で44歳以下が66%を占め、講義期間中は3万近いツイートが飛び交った。子育て中と思われる女性からはこんなつぶやきもあった。
「主婦が在宅仕事しながら洗濯機回しながらしまじろうが流れるTVの横で京大の講義が聞ける世の中。すごいなあ。20年前の自分に伝えたいよ」
スタートアップのPR支援などを行う「みずたまラボラトリー」の代表取締役で、2019年から米国ポートランドに家族で移住した松原佳代さんも、哲学や文化心理学などを視聴した。講義が始まるのは現地時間の夜9時。2人の子どもの寝かしつけを夫に頼み、パソコンに向かった。
「コロナ禍で、SNSやニュースで目にする一過性の情報に振り回されるのはとても危険だと感じていました。データ開示が早かったアメリカに比べ日本の状況が掴みづらく、不安が募っていたタイミングでもあったので、講義で冷静な視点を得ることで心を落ち着けたかったんです」(松原さん)