田原総一朗氏(c)朝日新聞社
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イラスト/ウノ・カマキリ
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 緊急事態宣言下に自民党と公明党の国会議員が銀座のクラブを訪れていた問題について、ジャーナリストの田原総一朗氏は「とんでもない神経のたるみ方」と憤る。

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コロナ禍で、政府が国民に終日強い自粛を求め、飲食店や居酒屋などに厳しい時間短縮を要請している最中に、自民党の松本純国対委員長代理ら3人、そして公明党の遠山清彦前財務副大臣が、深夜、銀座のクラブを訪れていたことが露呈した。

 とんでもない神経のたるみ方である。自民党、公明党に対する国民の不信感、というより憤りが爆発した。慌てて公明党の遠山氏は議員辞職した。自民党の松本氏、田野瀬太道氏、大塚高司氏は役職を辞任し、自民党から離党はしたが、議員辞職はしなかった。国民の憤りは収まらない。

 この出来事で、改めて思い出した。2018年、安倍首相(当時)が自民党総裁に3選された直後、官邸で2人だけで会った。そのときに、私は安倍首相に言った。

「森友・加計問題について、国民の7割以上があってはならない事件だと思っている。私は自民党の国会議員たちをそれなりに認めているつもりです。当然のことながら、彼らを馬鹿にはしていません。だけど、国家のこと、国民のことを真剣に捉えて、こういうことはあってはならない、こうあるべきだと考えている国会議員ならば、当然ながら森友・加計問題について主体的に捉えているはずです」

 今回のケースも同じである。こうした出来事が起きるということはまともな政治状況ではなく、何が問題かを国会議員たちが考え、それぞれのやり方で原因を追究しなければならない。当時も今も、国会議員の自覚は変わっていないのではないか。

 私は続けて言った。

「もしも、そういうことをやっていないとすれば、国会議員としての主体性というものを放棄していることになります。それでは国会議員としての資格はない、と言わざるを得ません。森友・加計問題について、『問題がある』と安倍首相にただしてきた自民党の国会議員は誰かいますか」

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「一人もいません」と安倍首相