さまざまな座組で演じられてきた松尾スズキの名作戯曲「マシーン日記」に、関ジャニ∞の横山裕が主演する。舞台ならではの喜びと、今年40歳を迎える自身について語った。AERA 2021年2月15日号から。
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「マシーン日記」は小さな町工場を舞台に男女の欲望とエキセントリックなまでの愛憎を描く戯曲だ。横山はワケあって兄に監禁されている電機修理工のミチオを演じる。大倉孝二、森川葵、秋山菜津子というクセのあるメンツと織りなす4人芝居で、映画「モテキ」「バクマン。」などで知られる大根仁が演出する。
■今までがつながった
横山裕(以下、横山):正直言うと、「マシーン日記」は見たことがなかったんですが、松尾さんと大根さんのお名前でやりたいと決めました。そのあとで、阿部サダヲさんや(V6の森田)剛くんがやってきた歴代のミチオを映像で見て、大変な役だと気づいて(笑)。話もぶっ飛んでるし、バイオレンス描写も毒気もすごい。でも不思議なくらい笑えてポップなんです。これ、どうやったらええんやろって頭を抱えました。演劇畑のすごい人たちとぶつかりあうというプレッシャーもあるし。でも、やるからには僕色を出していかないといけない。歴代のミチオのマネじゃ意味ないですから。不安がないと言うと嘘になりますけど、僕の経験値をフル稼働させて楽しむしかないので、素直に大根さんの胸に飛び込もうと思っています。
——大根には絶大な信頼を寄せている。出会いはデビュー前、17歳の横山ら人気ジャニーズJr.が出演したドラマ「熱血恋愛道」(1999年)。横山の主演回を演出したのが大根だった。
横山:誰がわかんねんというくらい昔の話ですけど(笑)、楽しかった思い出しかないんです。大根さんは、ほぼ演技初体験の僕らを面倒くさがらず、怒りもせず、面白がって向き合ってくださった、本当に尊敬している方です。僕は不器用やし、いまだに自分に自信がない。今回もなんで俺が主役なんやろとか思っちゃうんですけど、「最近のドラマを見て芝居がいい、仕事したいな、と引っかかっていた」と大根さんがおっしゃって、その言葉が励みになってます。ずっと気にかけてくれたんやというのが純粋にうれしかったし、今までやってきたことがこの舞台につながった気がした。