女性蔑視発言で森喜朗元首相が辞任後、迷走していた東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長選びにようやく決着がついた。
菅義偉首相の“ご指名”だった橋本聖子五輪担当相が要請を受け入れる意向を固め、18日中にも橋本新会長が誕生する。
候補者検討委員会周辺から昨日朝は日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長の名前があがり、夜になると橋本氏と二転三転した会長人事。その裏側を官邸関係者が語る。
「菅首相は女性を会長にとの思いだった。当初から橋本氏を第一候補にしていた。橋本氏なら菅首相がコントロールできる。コロナ禍にあって、オリンピックが開催できる確約はない。開催できないことも想定した場合、泥をかぶらねばならず、政治家でなければ難しいという理由もあった」
だが、橋本氏はすぐには首を縦には振らなかった。参院議員5期を務める橋本氏は、森氏の要請で政界に転出した。橋本氏も森氏について「お父さんです」と公の場で語るほど、心酔していた。自民党幹部がこう語る。
「橋本氏が消極的だった理由は、森氏の存在です。会長辞任後、森氏は川淵三郎氏を後継指名したのに官邸に潰された。それなのに自分がすぐ引き受けるのはと迷っていた。さらに組織委員会の会長になれば、大臣だけではなく、議員辞職をも求められる可能性があるのも懸念していた。だが、そこを自民党が調整して、大臣は辞任、議員辞職はせずという方向で話をつけた。ただ、自民党に離党ついては今後の調整だ。それでもなかなか踏ん切りがつかなかった。橋本氏は文春砲に高橋大輔との“ハグ&キス”写真を派手に報じられていたので、火だるまになるのを恐れたんだろう」
森氏の失言後、組織委員会の会長問題で脚光を浴びていたのは、東京都の小池百合子知事だった。森氏や橋本氏、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長との「4者会談」の欠席を表明。森氏に“引導”を渡す格好となった。次期会長人事でも小池知事は会長候補にシンクロナイズドスイミングのメダリスト、小谷実可子氏を推していたという。
「候補者検討委員会には、小池氏の腹心、東京都の副知事が入っているので、開催都市の意向が強く反映できると思っていたようだ。事実、委員会でも小谷氏の名前は何度もあがったそうだ」(東京都幹部)