前出の署名アルバイトした女性もそう記憶しているという。一方、告発を受けた愛知県警は、すでにアルバイト募集に関与していた名古屋市内の広告会社「G」を事情聴取している。

「リコール事務局から、数百万円で名簿を書き写す仕事を受けたとG社は説明している。警察から事情聴取も受け、発注書も提出している。リコール事務局の誰かが発注して、G社などを経由して、大手人材派遣会社がアルバイトを集めたとみられる」(捜査関係者)

 愛知県警の捜査は急ピッチで進んでいるという。

 高須氏らの会見に同席した弁護士が「リコールの会はモヤモヤの状態の中で、田中さんが逮捕されるという情報が流れている」と言及。

すると高須氏は「非常に不愉快だ」「私は素人なんです。署名簿の集め方などは知りません。河村氏がその時、紹介してくれたのが田中氏です。事務局長を信じないで組織は動きません。河村氏は一緒に戦ってきた仲間だ」と捲し立てた。

 4月末には任期満了に伴う、名古屋市長選が予定される中、窮地に陥る河村氏。大村知事は会見で河村氏、高須氏、田中氏の3人に対し、「首謀者であり、事実関係を説明する責務がある」と糾弾した。

 河村陣営からは名古屋市長選が近いことから恨み言が聞こえてくる。

「署名偽造がこのような時期に表に出るというのは、政治的な背景があるのではないか。関係ない署名偽造が選挙、市長たたきに利用されかねない」
 
 4月の市長選に出馬する意思があるかと本誌が河村氏を直撃すると、「まずはコロナ対応に全力だ。選挙についてはタイミングを見ている」とだけ話した。署名偽造疑惑を発端に、名古屋市長選の行方は風雲急を告げつつある。(今西憲之)

※週刊朝日オンライン限定記事

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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