西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、巨人のドラフト5位、秋広優人内野手について語る。
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身長2メートルを誇る巨人のドラフト5位、秋広優人内野手がキャンプを盛り上げている。二松学舎大付から入った18歳の高卒ルーキー。私もテレビで実戦をチェックしたが、どんな打席でもしっかりと振ろうとしている姿は素晴らしいと感じた。
かつて1メートル85あれば長身選手と言われたが、今は1メートル90の選手がゴロゴロいる。ダルビッシュ(現パドレス)や大谷翔平(現エンゼルス)、ソフトバンクの柳田悠岐といった大型選手がそのスケールの大きさで球界を牽引(けんいん)している。阪神には1メートル87のドラフト1位、佐藤輝明が入り、メディアにも大きく取り上げられている。
かつては、「長身選手は……」といって欠点ばかり指摘されてきたが、今はトレーニング方法が確立され、体の大きさをフルに生かしてパフォーマンスを出せるようになっている。だからこそ、首脳陣も型にはめない指導が求められる。
秋広はまだ体が細い。しっかりとトレーニングして、プロの体を作り上げるまではあと数年はかかるだろう。だが、「今は技術的にこうだから」とか、完成型を首脳陣が勝手にイメージして、いじくることだけは良くない。だって、2メートルの選手がどんな体の使い方をして、球を捉えられるのか、どこまでスケールの大きい選手になるかなんてわからない部分も多いからだ。
野球に対するセンスに関しても、1軍レベルの中で使ってみないとわからない。これまでにない形で成長していくことだってある。大谷翔平は1年目から日本ハムで1軍の試合に使われ、「プロの壁」といったものが存在しないのかと思えるスピードで成長していった。進化のスピードを停滞させないよう、大きな視点で育成してもらいたい。
そして秋広だけでなく、若手全員に言えることだが、今しか感じ取れない時間を無駄にしてほしくない。それはエース、主軸と呼ばれる選手と同じグラウンドで野球、試合ができるということだ。特に高卒2、3年目の選手にとって、その瞬間は何よりの財産となる。1軍入りへアピールが必要だから、目の前の結果にとらわれがちではあるが、せめてグラウンドにいる間、気を抜かないで、観察することだ。心技体、どこかにヒントはある。