

2月23日、61歳の誕生日を迎えた天皇陛下。コロナ禍で直接国民と触れ合う機会が持てない。 そんな危機に直面している皇室は、どうあるべきなのだろうか。お言葉から考えた。 AERA 2021年3月8日号から。
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天皇陛下が61歳になった2月23日、宮内庁は陛下の近影を発表した。ビデオと写真、どちらも皇后雅子さまとお二人バージョンがある。陛下のセーターと雅子さまのジャケットは、どちらも濃淡違いのブルー系。インナーは同じく白で、今どきに言うなら、リンクコーデだ。
そんなお二人の眺めるパンフレットに注目したのが、テレビ東京のニュースサイト「テレ東NEWS」。「地球環境行動会議」のものだとし、こう説明した。
「新型コロナの影響でこの1年間、皇居の他に両陛下が実際に訪れられたのは、明治神宮と戦没者記念式典を除けば、この国際会議くらいだったんです」
確かに昨年の2月23日以後、陛下が皇居の外に出たのはこの3カ所と国会議事堂のみだ。だから誕生日に先立って開かれた記者会見で、宮内記者会が最初に聞いたのが「新型コロナウイルスの影響で国民との交流が減ったことをどう考えるか」だったのは、当然のことだろう。
国民と直接触れ合う。それは上皇陛下と美智子さまが、平成という時代に徹底したことだ。2016年、生前退位を強くにじませたビデオメッセージの中で、上皇さまはこう述べた。
「日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました」
■オンラインでの交流
平成から令和になった2年目、世界をコロナ禍が覆った。「象徴的行為」ができなくなり、陛下は何を思うのか。それを考える前に、一つだけ別の話を。
今回の会見で、陛下は秋篠宮ご夫妻の長女眞子さまの結婚について初めて語った。「多くの人が納得し喜んでくれる状況になることを願っております」との言葉から、眞子さまの結婚は遠ざかったという報道もあった。