でも、色んな人たちの支えのおかげで、インディーズのデビューシングル「りスタート」は、予想以上の反響があった。タワーレコード限定での販売だったけど、各地で売り切れが続出したんだ。

 ボクが作ったアイドルグループに、日本中が一喜一憂しているような気がして、ほんとうに嬉しかった。

 ただ、それと同時に、ここからが大変だなとも感じた。

 現時点でもそうだけど、「豆柴の大群」は、普通のアイドルが3~5年かけてやるような活動を、駆け足でしている状態だった。だから、メンバーの経験値も当然少ない。この人気を維持していくためには、一体どうすればいいのかっていうのは、つねに考えていたし、もちろん今でも、それを考えない日はない。

 現プロデューサーの渡辺淳之介さんとも、よく話をした。最初は、ボクと渡辺さんのアイドルに対しての考え方が違いすぎて、戸惑うこともあったけど、今は、逆にそれが「豆柴の大群」の魅力だと感じている。例えば、ボクが作詞をした楽曲は可愛い雰囲気なのに対して、その他の楽曲はロック調でかっこいいものが多い。それが「天使と悪魔」の2面性って感じで、良い相乗効果になっているような気がするんだよね。

 渡辺さんのアイドルの育て方って、すごく独特。ダンスの振付、ライブ中に行うコントなどは、基本的にはメンバー自身に考えさせるんだ。それってすごいこと。メンバーたちに任せるって、すごくリスクが高いでしょ? それで「面白くない」って評判が立つ可能性もあるわけだしね。

 少し荒療治だけど、そうやって色んなことに挑戦させないと、能力って伸びていかないから、やらせているみたい。メンバーは大変だろうけど、どんどん自由に、好きに育っていいよっていう環境だから、それはそれで面白いと思う。

 結成当初に比べて、ダンス、歌、MCと、みんなが成長しているのも分かる。特に、他のメンバーに比べて少し遅れて入ったカエデ(カエデフェニックス)は、ほんとうに頑張っていると思う。

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