田中:やっぱり日本は賃金の格差が大きすぎるんですよね。同じようにフルタイムで働いていても、男性10に対して女性7ぐらいの賃金です。男の人が働いたほうが、家計全体が潤うっていう構造があって、個人の努力で賃金の格差は埋められないわけだから、単に「性別役割分業、もう古いです」って話だけではない。社会の中で、特に職業の領域における女性差別を解決しないで、個々の家庭に解決を求めるのは、ちょっと筋違いな気はしますね。
鈴木:それぞれの家庭のスタイルと環境を話し合い、このぐらいできるねとか、できないねとか考えていくことが大事なんじゃないかなと思うんです。
田中:今の時代、ほかのお父さんと比べて自分は家事育児をやっているから偉いみたいな話になりがち。でもそうではなくて、鈴木さんのように夫婦でよく話し合って、自分たちの家族はどうしたいかという話し合いができ、家族みんなが納得しているということが大事ですね。僕もそうありたいと思います。
鈴木:うちでは二人とも不規則に仕事が入るので、1、2週間前にまとめてスケジューリングして保育園の送り迎えなどを決めます。でも、言った、言わないとか、仕事が重なったとかで、小さなもめごとの火種になることは結構多いです。
田中:うちは古典的な方法ですが、冷蔵庫にカレンダーを貼っておいてお互い予定が入ったときに書き込んでいます。
鈴木:緊急事態宣言の間は、息子の保育園でも登園自粛の要請が出て、妻は仕事で外に出かけていくけど、僕は家での作業が多いので息子と長い時間過ごすことも多かった。ただ、家事は基本、妻がやるんです。なぜなら、妻はすごくきれい好きで、掃除や皿洗いなどを僕がやるのを嫌がるんです。ほかにもこだわりがあるので、だんだんできない家事が増えて引き算になっちゃう。
■妻のことをリサーチ
田中:大島さんが気になるから家事を担当して、家で仕事をすることが多い鈴木さんが子どもをみるという鈴木家は、特に話し合いもぶつかり合いもないままにただ女性だから家事をしている家庭とは違いますね。現在の分担の形に至った各家庭のプロセスがあることが大事です。逆にもし鈴木さんのほうが細かいことが気になるタイプなら、お皿洗いますよね。