夫婦間での不平等な感覚はどの家庭でもたまりがちで、放っておくと大問題に。「森喜朗と一緒」と妻に言われた鈴木おさむさんと、男性学の田中俊之さんが語り合った。AERA 2021年3月15日号に掲載された記事を紹介する。
【打ち合わせで「しゃべらなくていいからね」 職場にあふれる「森発言」的なもの】
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東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長だった森喜朗氏の女性蔑視発言に対して批判や抗議が広がった2月中旬、AERAdot.に掲載されたあるコラムが話題になった。放送作家の鈴木おさむさんが、妻で芸人の大島美幸さんから「お前なんか森喜朗と一緒だよ───!」と言われ、「気づいたら自分がそっち側にいた」と反省したという内容だ。男性の中にある「森発言」的なものについて、鈴木さんと男性学の専門家、田中俊之さんがリモートで対談。互いに未就学児を持つ父親の立場からも夫婦の問題について語り合った。
■社会的地位も自覚する
田中俊之(以下、田中):鈴木さんの記事、大変面白かったです。男性は(あのコラムを)他人事として考えず、自分にも相手を簡単に否定するとか会話に割り込むなど、妻をどこか軽く見ている側面がないかのチェックに使うといいと思いました。
鈴木おさむ(以下、鈴木):僕の態度が悪かったんですよ。話し合うときにフラットでいる努力を怠っていたのかもしれない。妻には2年に1回ぐらいめちゃくちゃ怒られるのですが、いつも僕のコミュニケーションの取り方が原因です。
田中:対等に話し合うというのは僕も含めてなかなかできない。だから、大島さんのおっしゃったことは名言。優劣の意識は男としてナチュラルに身についてきてしまった部分があるから、パートナーに指摘してもらえることは素敵な関係だと思います。
鈴木:僕、そもそもせっかちで男女関係なく人の話を最後まで聞いていられないところがある。年をとったのもあるかもしれない。
田中:自分が高圧的な態度を取ったり、否定的なことを言って相手を黙らせたりしているときって、自分自身は「丸く収まっている」「スムーズに話が進んでいる」と思っているんですよね。僕も大学の教員なので「先生」とか呼ばれて勘違いしちゃう。鈴木さんに仕事で意見するのは目下の人は難しいでしょう。だから年齢にプラスして自分自身の社会的な地位も自覚しないとまずいなと思います。