3月1日に解禁となった就活。コロナ禍での合同企業説明会は密を避ける対策に余念がない。そんな中、話題の音声SNS“クラブハウス”を活用して企業のトップや現役社員の生の声を聞く新しい就活が生まれている。その半面、SNSでの就活に潜む危険もある。AERA2021年3月15日号の記事を紹介する。
【クラブハウスを就活で活用するために気をつけたいことはこちら】
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気になる業界の企業ルームに就活生がリスナーとしてスマホ片手に参加し、自由に退室できるクラブハウスを活用した就活は、コロナ禍で都心に行くことが難しい地方の就活生にもメリットとなっている。
OB・OG訪問や就活生同士の交流など、今やSNSは就活に欠かせないツールの一つになった。だが、便利さの裏には、危険も潜んでいる。
大学3年の女子学生は昨夏、OB・OG訪問アプリで知り合った男性会社員からセクハラを受けた。学生は言う。
「志望業界の若手社員の方から、就活相談に乗ると連絡がきました。なかなか知り合えない業界なので、このチャンスは逃せないと思ったんです」
対面でのOB訪問にこだわる男性に連れていかれたのは、繁華街のレンタルルームの一室。身の危険を感じ、場の空気を壊さないよう他の店への移動を促して事なきを得た。
なのに、その後も会話の節々で違和感を覚える発言が飛び出した。
「社名を知ると学生のほうから寄ってくるとか、たくさんいる就活生の中で体の関係を持った人は上位だとか、平然と話すんです。でも、ES(エントリーシート)の添削やアドバイスはしっかりしてくれるし、連絡も断ちづらかった」
しばらくLINEなどで相談にも乗ってもらっていたが、「好き」「可愛い」など就活には無関係の言動が多かった。業界への不信感も芽生え、志望を変更したという。
ツイッターで就活専用のアカウント(就活アカ)を作って情報収集する都内の女子学生も不思議に思っていることがある。
「ダイレクトメッセージを送ってくるのは、なぜかみんな男性のアカウントなんです」
返事は控え、社会人の話を聞くときはなるべく同性を探すなど自衛する。さらに、悪質な社会人に出会わないよう、SNSで学生たちが連携する動きもある。女子学生は言う。