「OB訪問アプリやSNSでやばい社会人がいたら、就活アカ界隈で『この会社の人危ないよ』って情報が流れてくるんです。そこで名前が挙がった企業の社員の方には連絡しないように気を付けています」
■午前2時の就活ルーム
アプリやツイッターに潜む“やばい社会人”は、先のクラブハウスにも潜んでいる。
「お風呂からしゃべってるの?」
午前2時頃、ある就活ルームで社会人男性が放った一言に、場が凍った。
スピーカーになった女子学生の声がハウリング気味だったことを指摘したかったのだろうか。学生は否定し、何事もなかったかのように話は進んだが、ぎこちない空気が漂った。
男性からすれば、質問に他意はなかったのかもしれない。それでも、就活生に対する発言としては不適切だろう。
新卒採用サービスを手がけるワンキャリアPRディレクターの寺口浩大さん(32)さんはこう指摘する。
「課題は見えないと解決できません。昨今問題化している就活セクハラなど不透明だった事柄がクラブハウスでも可視化されています。誰が誰をフォローしているかも見えるので、その関係性から信頼に足る相手かを考えてみる。怪しいかどうかわからないときは、オフラインに置き換えてみてください」
初めて訪れる街で深夜に路地裏のバーを選ぶのか、ゴールデンタイムに大勢がいるレストランを選ぶのか──そう考えることで、自分自身の違和感のセンサーを磨くことができるという。コンテンツプロデューサーの笠原大輔さんも言う。
「プライベートのSNSとの安易な連携は注意する。ES添削は事前に無償であることを確認し、金銭や直接会うことを要求された場合は内容を保存して、自己防衛手段を取る人だとアピールすることも有効です」
ツールを有効に使うためにも、自分の身を守ることを第一に。大人も就活生との関係が非対称だということを忘れてはいけない。(編集部・福井しほ)
※AERA 2021年3月15日号より抜粋