■岩国発が増える予想

 オスプレイは、昨年、初めて陸上自衛隊にも導入され、7月に1機目、今年2月24日には3機目が千葉県木更津駐屯地に配備された。米本土から輸送船で岩国基地の港湾施設に陸揚げし、点検、試験飛行の後、木更津に移される。3機目は2月14日に到着した5機のうちの1機で、残りも木更津に配備予定だ。

「岩国が拠点化すると、そこを中心に使いやすいものをセットしていく力学が働く。岩国発の活動が増えていくだろう」

 そう分析するのは1998年から、米軍や自衛隊の動向、基地の調査・研究をしているNPO法人「ピースデポ」特別顧問の梅林宏道(83)。背景には、中国を念頭に置いた米国の思惑がある。今後、日米の軍事一体が実質化し、「日米機動部隊」としての性格が強まる。その一翼を担う岩国について梅林は、「米国の戦略というより、自治体としての抵抗が弱いため、拡大、拠点化を招いている」と言う。

 16年5月27日、当時のオバマ米大統領が現職米大統領として初めて被爆地広島を訪問した。その際、広島の前に岩国基地に立ち寄り、将兵に向け、「最も強固な日米同盟がここには示されている」と岩国をたたえるスピーチをしていた。

 あれから5年。岩国は「町ぐるみ基地化」の様相をさらに強めている。(一部敬称略)(ノンフィクション作家・高瀬毅)

AERA 2021年3月15日号