「亡くなった息子がファンでした」「天国にいる娘も喜んでいると思います」といった声をかけられ、言葉に詰まることもしばしば。「簡単に『元気出して』と言えず、気持ちで包むというか、手を握りしめるのが精いっぱいでした」
16年の誕生日。ツイッターにこう記した。
「命についてとても考えさせられた日でもある今日。そして今日という日に誕生した命、、、何も特別なことはない悲観することもない今日という日に誕生の方皆さんへおめでとうございます」
ツイートは日付が変わると、すぐに発信する。それには理由がある。
「私もですが、3月11日生まれの方はたくさんいらっしゃいます。まず震災について触れて、あとはお祝いすることでこの日に生まれた人が引け目を感じないようにしようと思っているんです」
一昨年に結婚し、昨年3月に子どもができた。
「娘が生まれて母親になりました。それだけに、『もし突然、我が子を失ったら』と考えると胸が張り裂けそうになります」
家族ができて、防災の気持ちはさらに高まったという。
「水と食料は3日分以上。紙おむつなど子ども用の雑貨はそれ以上に備蓄しています。娘は昨年3月末に生まれたため、紙おむつを確保するのに大変な思いをしました。日頃から皆が備蓄していればパニックになりませんし、品不足もないはずです」
仕事柄、外出が多い。もし災害が起きて夫と連絡がとれなくなった場合を想定し、自宅そばに避難場所を2カ所決めている。
「そのどちらかで待っているか、行けば会える。それだけでも少し安心できると思うんです。巨大地震はいつ来るかわかりません。常に心構えをしているだけで自分も大切な家族や友人も守ることができると思います。そんなことも、これから発信していくつもりです」
(高鍬真之)
●プロフィル
しのだ・まりこ 1986年3月11日生まれ、福岡県出身。モデル、俳優、タレント。AKB48を卒業後もCM、ドラマ、バラエティー、舞台など幅広く活躍。2019年に一般男性と結婚し、昨年3月末に第1子女児を出産した。
※週刊朝日オンライン限定記事