──シアーシャ・ローナンとの共演の感想は? お二人の見事な演技が圧巻でした。
「彼女にはこれまで映画祭やイベントなどで会うことも何度かあり、知り合いだったの。それが共演の仮準備のような役割を果たしたと思う。他の俳優と共演する場合、撮影前に会うこともなく、初日に本番ぶっつけでやるということも多々あるから。私は過去作でそういう状況に立たされ、どうしていいかわからなくなってしまい、恥ずかしい思いをしたことが何度もあるの。“お会いできてうれしいわ! あなたの映画はすごく好きでファンです”とか言って舞い上がったり……(笑)。だからシアーシャと以前から面識があったことは、共演の大きな助けになった」
──驚いたことに、二人は初めての共演でしたね。
「そうなの。スタッフの人たちも、シアーシャと私が共演したことのないことを驚いていて、遂に実現した共演だと感じたようよ。イギリスでの撮影だったので、スタッフは過去の作品で仕事した人も多く、なじみのある環境の中で演技に専念できたの。シアーシャと私の間には、言葉で説明しなくてもわかる、速記のようなコミュニケーションの関係が生まれたと思う」
──フランシス・リーという監督はどんな監督ですか?
「素晴らしい監督だと感じたわ。ある意味で、彼は主人公のメアリー・アニングだと思ったの。奇妙かもしれないけれど、それが私の見解なの。というのも、彼は典型的な英国北部の労働者階級の出身で、4年前に監督として長編映画デビューした。彼の中には、道を自分で切り開き、開拓し、種をまき、コツコツと育てるという姿勢がある。彼の仕事ぶりがメアリーのようで、彼女の中にあるエネルギーを演技の中で作り出す助けになった。フランシスの仕事のリズムに感化され、それが自分の演技に反映されていったと思う。自分でも驚いたのだけれど、とても役に立った。彼は俳優出身で、撮影中に俳優が不安になったり、怖くなったりする心境を理解してくれている。そのあたりの思いやり、理解を感じた」