レオナルド・ディカプリオと共演した「タイタニック」でヒロインを演じ映画史に名を刻んだケイト・ウィンスレット。その演技力に異論を唱える者はいない。アカデミー賞の有力候補作「アンモナイトの目覚め」と共演のシアーシャ・ローナンについて語った。
* * *
──古生物学に身を投じたメアリー・アニング役を演じることになった経緯を教えてください。
「エージェントを通して脚本が届いたの。すぐに読んでみてほしいと言われた。他の映画の撮影中のことで、撮影中は今やっている映画の脚本に専念し、その世界にどっぷりつかっているから、他の脚本を読んだりそれについて考えたりするのは難しい心境だった。それを知りつつエージェントは、とにかく素晴らしい内容だから、今すぐにこの脚本を読んでほしいと言ってきたの。説得され、夜中の12時に読み始めて、即やりたいと感じたわ」
──フランシス・リー監督自身の書き下ろし脚本ですね。女性の状況や心理を見事にスクリーンに焼き付ける内容です。
「そうなの。脚本を読んだ翌日、承諾の連絡をして、数日中にはフランシスと会った。電車に乗ってイングランド北部に住む彼に会いに行った。何が私の心を引き付けたのかといえば、メアリーの中にある、とても深い感情をおさえた静けさ、それを表現したニュアンスだったの。女性同士の恋愛を作り上げた脚本のテクニックが素晴らしかった」
──若手で売れっ子のシアーシャ・ローナンが演じるシャーロットとの関係をどう演じようと思いましたか?
「映画は実話に基づいたフィクションなの。脚本ではメアリーという女性にある一面を隠したり、秘密を作為的に織り込んだりした箇所はなかった。シャーロットとメアリーという、育った環境も階級も全く異なる二人の女性をそのまま表していけばよかった。二人が相手を知ることで、自分を見つけ出していく。そんな過程を綴った点に魅了された。同時に俳優として、この役をどうやって演じていいのか見当もつかなくて、恐怖も感じたわ。でもその恐怖はいいことなの。俳優として大きな挑戦になり、意欲をかきたてられるから。撮影現場で日々、緊張感を感じることを俳優として年をかさねるにつれ楽しめるようになったの」