「自称『ウンチ博士』の著者が書いた地質学の本に、ウンチなどの生痕化石のことが書かれており、これはいけるのではないかと執筆をお願いしました。恐竜の化石などメジャーな化石と違って地味だけど、動物たちが何を考え、どんな発想をしていたかがわかります」(担当編集者)

 どうやら大人向け書籍の世界でも「うんこ本」のブームが起きそうな興味深いラインアップではないか? しかし、いったいなぜ今、うんこなのか?

「うんこで世界を幸せにしよう!」とうたう会社が横浜市にある。その名も株式会社うんこ。そのこころを、野畑昭彦社長は「うんこには笑顔を作る力があるんです」と説く。

 作業用衣料品などをつくるメーカーを始めた4年ほど前、社名を「うんこ」に変更した。うんこのイラストや文字が描かれた服や靴、腕時計や名刺入れなどを製造販売している。売り上げは上昇傾向にある。

「今はコロナで巣ごもり生活ですが、そんな中でも笑うことは大切。動画や商品でうんこの魅力を訴えていきたい。うんこの存在感は世界共通で、絵を見ただけでどの国の人もそれとわかるし、笑ってくれる。当社のウェブサイトでは、世界中の人に描いてもらったうんこのイラストを載せています。うんこで広げよう友達の輪っていうところでしょうか(笑)」

 そう語る野畑社長自身がいかにも楽しそうだった。

 コロナ禍ではあるが、子供も大人も無邪気に笑って学びたい──そんなうんこの時代なのだろう。(本誌・鈴木裕也)

週刊朝日  2021年3月26日号