ライブドア元社長の堀江貴文氏がネット放送に革命を起こすと持論を展開する。
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私は有料メールマガジンを月額840円で1万人以上の読者に向けて毎週発行している。それに動画がついたサービスが、ニコニコ動画の「ブロマガ」だ。
「ブロマガ」はネット生放送ができるので有料会員に向けて週イチくらいのペースで、私がいま注目している業界関係者にインタビューをするという番組をゲリラ的に開催している。
テレビやラジオと違って時間制限もないし、興味がある話題をじっくり聴くことが可能だ(もちろんコマーシャルもない)。これからは対談だけでなく、会議そのものをネット中継することも考えている。そのためにはもっと機動力が必要になっていく。つまり放送機材の問題だ。
これまで生中継は放送局の独壇場だった。衛星通信を利用した中継車を配置し、一つ数万円はするというFMワイヤレスマイクを用意して、音声のミキシングに最低でも一人は人員を割き、カメラは数台をスイッチングしてという具合にものすごいコストがかかっていた。
実はこの分野に、いま革命が起きつつある。米国の会社が、リュックサックに収まるくらいの「小さな」放送機材を開発したのだ。この機材は4キャリアの携帯電話会社に接続でき、携帯電話経由の映像や音声配信で時々起こるブチブチ切れてしまうトラブルを回避することが可能で、回線状態が良ければHD画質で配信することもできる。
少なくとも携帯電話の電波があれば、どこでも手軽に映像や音声の中継ができるようになった。ネット放送だけでなくマスメディアでも利用されているという。
ただし問題点もある。月額費用で基本レンタルのみで数十万円のコストがかかるのだ。完全にプロ用の機材といえるだろう。私はこの機材のコストが下がるとインターネット生放送の革命が起こると思っている。そのために格安のFMワイヤレスマイク(これまでコストが高かったのはそんなニーズは放送局とか劇場とかにしかなかったからだ)や通信機材をオールインワンにしてコンパクトにまとめたい。
いま私の会社ではそんなプロジェクトが進行中なのであるが、なぜそれで革命が起こるのか?
これまで一部のプロしか使えない高価な機材やテレビ局の放送免許のせいで優秀なクリエーターたちの活躍する場が限られていた。だが、ニコニコ動画やYouTubeのような動画インフラが整ってきたおかげで、それが変わりつつある。ブログの普及でプロのブロガーがデビューしたように生放送の世界も大きく変化するのである。たとえば新規ビジネスのプロジェクトは実は会議が一番面白かったりする。「会議をいまからネット中継しちゃえ」的なノリが普通にできるようになるのだ。
もちろん、いまでもウェブカメラとマイクを使っての生中継は可能だが、やはり映像はともかく音声が途切れ途切れだと顧客の満足度は低い。となればセミプロ向けの機材が必要だ。そんな近未来にどんな面白いコンテンツが生放送の世界にでてくるのか、いまから楽しみである。
※週刊朝日 2013年5月24日号