春はテレビ業界の改編期。今年も番組のリニューアルや出演者の入れ替えが行われた。予算削減や現状よりも視聴率アップのため、改革やてこ入れはある意味仕方のないこと。ただ、新型コロナウイルスの流行が続く今期はいつもと違う事情もあるようだ。
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目立ったのは、ベテラン勢の“リストラ”ともいえる改編だ。例えば、22年間司会を務めた小倉智昭の『とくダネ!』(フジテレビ系)が3月26日で終了。情報番組『めざまし8』に衣替えされ、メーンMCは俳優の谷原章介と局アナの永島優美が就いたが、コメンテーターの顔ぶれは『とくダネ!』時代とかぶっている。『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ系)では、18年間メインキャスターを務めていたフリーアナウンサーの福澤朗が28日をもって卒業し、局アナの桝太一が後任となるなど大改革に舵を切った。
理由として考えられるのは予算削減。コロナ禍での広告収入減がかなり響いているようだ。ある放送作家が明かす。
「ギャラの高いベテランがリストラになるのは理解できるが、テレビ朝日の朝帯『羽鳥慎一モーニングショー』の青木理さんをはじめ、『グッド!モーニング』の増田ユリヤさんや中尾彬さん、岸博幸さんなど、とにかくスポーツ以外のコメンテーターがことごとく3月で卒業になったのには驚いた。新型コロナ流行により広告収入が減っているなかで、削れるところからカットしていこうということだろう。コメンテーターのギャラはそれほど高いわけでもないのだけれど……」
元毎日放送プロデューサーで同志社女子大メディア創造学科の影山貴彦教授は、経費削減もさることながら、本当の理由は別のところにあるとみている。
「どのテレビ局も長い付き合いのため、切るに切れないベテランを抱えてきた。テレビは高齢のベテランがトップで走り、30代は下っ端の扱い。いまの時代、ほかの業界ならば30代はもっと活躍しています。若い視聴者を獲得するためにテレビ業界も世代交代が迫られていたところに、コロナの流行があった。ギャラを下げてもいいと妥協したベテランに対しても、コロナ禍を理由に切れるようになったということも言えるでしょう」
さらに、テレビ業界は長年、世帯視聴率を指標としてきたが、個人視聴率を重視する傾向にシフトした結果、若い視聴者を意識して番組を制作するようになってきているという。