生年月日から母と次女の性格を導き出し、家族が抱えている問題や状況をズバリ言い当てる。顔を合わせたばかりの占い師に核心を突かれ驚きながらも、促されて普段言えない本音の言葉が二人からあふれ出た……。
女性は言う。
「苦労してきた人が占い師から肯定する言葉を言われたとき、涙している表情を見るとこちらもうるっときます。毒親に育てられて子どもとの関係に悩んでいる人、次男が亡くなって長男とうまくいかない人、みんなすごく苦労しているんだなって」
日常で自分の人生を他人から「肯定」してもらえる瞬間なんてない。特に昨年はコロナ禍もあり、仕事では報われなさばかりが募った、と女性は言う。
一体何がここまで視聴者を引き付けるのか。プロデューサーの春名剛生さんが話す。
「テレビ番組では街録と言って街に出てインタビューすることが多いですが、街ゆく人に声をかけて『つらかったことは?』『人生の転機は?』と聞いても、そう簡単には出てこないことが多いと思うんです。初めて会った人に話す必要はないし、本人も毎日そのことを思って生きているわけじゃない。でも、街録では出てこない深い話が、占いを通すと出てくる」
■物語を知る満足感
例えば放送開始当初の回では、ある女性が占いを通じて話をするうち、兄を亡くしたばかりだったと判明するシーンがある。一緒に飲んでいた同僚にすら話していなかったことだった。
このように、番組では占いで人間ドラマが引き出されていく。
「まったく知らない人なのに、応援したいと思える。スターにも悩みや浮き沈みがあることを知って、身近に感じられる。自分も頑張らないとな、と思える。人と対面しなくなってきているがゆえに、人の物語というものが立ち上がってくるのかもしれません」(春名さん)
占いは、以前は自分ひとりの体験で物語だった。だが、いまは共有できる。人のつながりが希薄になった中で、自分ではない誰かの人生の物語に共感し、肯定する。もしかしたら、私たちはそんなやりとりに飢えていたのではないか。