それに、私たちが大学を卒業して就職をしたころには、男女雇用機会均等法などはなく、ほとんどの女性は正規の就職はできなかった。女性は一時的には職に就いても、結婚し、出産することが大目的だとされていたのである。
そうした背景もあり、私と同世代の森喜朗氏は、あのような失言をしてしまうのであろう。
日本の男女平等を進めるためにはどうすればよいのか。
政治の分野ではフランスがやったように、クオータ制を早く導入して、少なくとも女性の国会議員を3分の1以上にするとか、あるいは、新規候補者を男女同数にするなどと定めるべきである。
そして、経済分野での最大の問題は子育てである。欧州の先進国や米国などでは、子育ては女性と男性が同程度やる、ということになっているが、日本では現在でも、子育てはほぼ女性、母親が担っているというのが実態ではないか。これでは女性が経済分野で存分の活躍ができるはずがない。
これは、日本人として世界の人々に対して恥ずかしいかぎりである。何としても、早く女性が存分の活躍ができる状況にしなくてはなるまい。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2021年4月16日号