アニメ「スラムダンク」エンディング曲の『世界が終るまでは…』や中山美穂とコラボした『世界中の誰よりきっと』など、1990年代に数々のヒット曲を打ち出し、一世を風靡したWANDS。デビュー時から何度かメンバーチェンジを繰り返し、現在は「第5期」という位置づけだ。第5期は、約20年の活動休止期間を経て2019年11月に始動。黄金期を支えたベテランの柴崎浩(Gt.)、木村真也(Key.)に加え、ボーカルには新鋭の上原大史が大抜擢された。業界も一目置く上原がインタビューに応じ、伝説のバンドを引き継いだ時の葛藤、上杉昇ら先代ボーカルへの思いなどを語った。
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――メンバーが入れ替わりながらも解散はせずに、数十年に渡ってバンドを継承し続けているWANDSは、業界的にも珍しいと思います。こうしたバンドの形態を、どのようにとらえていますか。
まったくのゼロから新しいバンドを始めるよりも、幅広い人に見てもらえるのは強みだと思います。昔からのファンからも注目してもらえますし、メンバーが入れ替わることで、新しい世代の人の目に留まるきっかけも作れる。WANDSのファンの年齢層は、上から下まで幅広い。かつての名曲を歌って継承しつつ、新たな曲を出すことで、バンドの歴史を更新することもできます。
――上原さんが伝説的バンドのボーカルに抜擢されたきっかけは何だったのでしょうか。
始動は2019年11月ですが、その半年以上前の春にはデビューの話をいただいていました。僕は当時、WANDSが所属するレコード会社「ビーイング」のグループレーベルで作曲などをしたり、デモに歌を吹き込んでいたのですが、それを聞いたプロデューサー(長戸大幸氏)が、「ええ声だな」と。どうやら声を気に入ってもらえたようです。
――あのWANDSを引き継ぐことへのプレッシャーはありましたか。
デビューまでは自分で大丈夫なのか、とにかく不安で、悪い想像ばかりしていました。もっと総スカンを食らうと思っていましたが、幸いにもデビュー後は、応援してくれる方もたくさんいた。今はデビュー当時に比べると、不安もだいぶ落ち着きました。昔は昔、今は今。別物として見てもらえばいいと、割り切っています。