
SNSとメンタルヘルスは関連するか? このテーマに挑んだ研究結果が3月に発表された。浮かび上がってきたのは、Twitterヘビーユーザーの悩みや孤立感だった――。
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東京都健康長寿医療センター研究所は2019年、SNSユーザーのメンタルヘルスについて調査を行った。SNSの利用に伴う「精神的な満足感・幸福感」「悩み・抑うつ傾向」、そして「どのぐらい孤立感を感じるか」の三つを評価してもらい、8576人の回答を分析した。それによると、次のような関連性がわかった。
〇Instagramを頻繁にチェックする若年層(18~39歳)は、高い「満足感・幸福感」を得ている
〇若年層で、Twitterで頻繁につぶやいたり、タイムラインをチェックしたりする人は、高い「悩み・抑うつ傾向」を示している
〇またTwitterにおいては、頻繁につぶやいたりタイムラインをチェックしたりする中年層(40~64歳)、また頻繁につぶやいている高齢層(65歳~)は、「孤立感」を感じている傾向がある
この結果の見方について、研究を行った同研究所の桜井良太さんはこう注意を促す。
「ただしこれは、アプリの使用頻度とユーザーの精神的健康状態の、一時点の相関関係を表したものです。『Twitterをやればやるほどメンタルヘルスが悪くなる』といった因果関係が示されたわけではありませんし、あくまでも相関関係ですので、全てのTwitter利用者のメンタルヘルスが悪い状態にあることを示すものでもありません」
研究ではFacebook、LINEなど4種類のSNSを対象にしたが、このうち、若年層で鮮明な差が生まれたのが、InstagramとTwitterだった。Instagramのチェックは良好なメンタルと関連していたが、Twitterの利用と良好なメンタルは関連していなかった。
それどころか、若年・中年層のTwitterの頻繁な閲覧・発信は、悩み・抑うつ傾向が強くなるというネガティブな関連が見つかった。これらの関連は、学歴や居住形態、暮らし向きといった要因の影響を考慮した上でも、強いものだった。
また中年層と高齢層では、孤立感との関連も示された。Twitterを頻繁に利用しないグループに対して、利用するグループの孤立感の有しやすさを示すオッズ比(ある事象が起きる見込みを2つのグループで比較した統計学的指標。1より大きいと孤立感の有しやすさが高いことを意味)は次の通り。中年層で、「閲覧」=1.70、「発信」=2.22。高齢層で、「発信」=14.3。