10月の任期満了までに衆議院解散総選挙が取りざたされる中、もう一つの大きな「関ケ原」は秋の自民党総裁選だ。
その先陣を切って自民党の下村博文政調会長が政権構想を打ち出した「GDW興国論 幸福度世界一の国へ」(飛鳥新社)を4月23日に出版する。
「下村さんは私の盟友です」
安倍晋三前首相も下村氏の政権構想本をこう後押し、自民党内はザワついているという。
河野太郎ワクチン担当相、小泉進次郎環境相、野田聖子幹事長代行らがポスト菅の有力候補として取りざたされる中、下村氏が安倍前首相のお墨付きをもらい、堂々と名乗りを上げたのだ。自民党幹部がこういう。
「総裁選は10月の予定だから、下村氏が一番手として立候補に名乗りを上げたということ。著書で安倍さんと対談しているのは大きいよね。総裁選候補者として、安倍さんが事実上の領袖である最大派閥・清和政策研究会(細田派)がお墨付きを与えた形にもみえる。安倍さんは菅政権の支持率が芳しくないことから、98人が属する清和研をまとめるために、下村さんを担ぐと早めに動き出したのかな。安倍さんの盟友、麻生太郎氏の派閥・志公会(54人)がこれに乗れば、150人ほどになるので、大きな流れができるからね。菅首相と二階幹事長はどうするのかな?」
入手したゲラ刷りには、下村氏の政権構想が余すことなく、記されていた。書名にもなっている「GWD」とは何か。
これまでGDP(国民総生産)が国、国民の豊かさを現す指標の1つだった。だが、今、ウェルビーイングという言葉が世界的に広がっている。
「GDW」はGross Domestic Well-beingの略称で、GDPでは加味されない、新しい価値観で精神的な豊かさを加えた幸福度や生活満足度の指標だという。
下村氏はGDPから、単なる経済的な豊かさだけではないGDWを政権構想の目玉とする方向を打ち出しているのだ。著書には以下のように記してある。