■高額の養老保険は「払い済み」の方法も
前野:次は、現在の貯蓄額をみていきましょう。
I子:私の名義で120万円、息子の名義で100万円、それから養老保険の積立が800万円くらいあります。
前野:ちょっと待ってください。資産形成とはいえ、養老保険はあくまで保険です。原則として満期にならなければ受け取れませんから、現時点では「支出」です。貯蓄は「今すぐ使えるお金」と認識しましょう。
I子:養老保険は58歳の満期で1300万円になるんですが、月5万円という負担が重くて。
前野:となると、定年後の貯蓄を見据えて、養老保険を見直したほうがいいかもしれません。
I子:今解約すると損かと……。
前野:支払ってきた金額より受け取る額が減るので、解約はおすすめできません。養老保険には「払い済み」という選択肢もあるのはご存じですか?
I子:初めて聞きました。
■払い済みの対応で、満期時にお金が戻ってくることも
前野:払い済みとは、保険料を支払うことはやめるけど、今まで払ったお金はそのまま保険会社に預けておき、満期がきた時に受け取れる制度です。その間の死亡保障も続きます。I子さんが今、払い済みの対応をとれば58歳の時に約800万円が戻ってくることになります。
I子:養老保険に払っていた月5万円を、貯蓄に回せますね!
前野:はい。払い済みで満期に受け取る800万円を、息子さんの学費に充てるという使い道もあります。あるいは、浮いた月5万円を、住宅ローンの繰り上げ返済に回すのもいいでしょう。
I子:なるほど! 我が家は二世帯住宅を建てる時と、外壁の断熱工事の時と、ローンを2本組んでいて、それぞれ返済額は、年間36万円と年間54万円です。
前野:養老保険の5万円を、二世帯住宅のローン返済に充てると、年間60
万円も繰り上げ返済できます。すると、約20万円の利息が浮くので、予定より2年早く完済できますよ。
I子:2年もですか! 老後資金に回せる額も増えそうです。