
実際、そういうこともあるのだと思う。だが、物書きは私と同じ歳、活動家は33歳。自身の気持ちを述べることは悪いことじゃない。でも、彼女たちはもう大人。そして社会で、それなりの役を担ってる。彼女たちの発言により、社会的に抹殺されかけた人や抹殺された人もいるくらいには。
彼女たちはリベラル側の応援団だというが、個人の尊厳を知っているのだろうか? 個人の尊厳を守ることは、他者の尊厳を守ることでもある。
反知性主義が跋扈(ばっこ)する世の中、彼女たちが伝えたいことは「キモい」という感情ではなく、その中身であるべきだ。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2023年2月10日号

