前出の他球団スコアラーは続ける。

「田中を神格化しすぎですよ。13年の24勝0敗が驚異的であの投球を再現するのは不可能です。剛速球でねじ伏せる姿を想像した人がいるかもしれませんが、8年間で肉体も投げ方も変わってくる。中田翔、石井一成の本塁打はきっちり捉えて『まさか』ではないし、田中の投球は決して期待を裏切った内容ではない」

 過去にメジャーからNPBに復帰した日本人投手の成績を見ると、日米通算201勝を挙げた元広島の黒田博樹は8年ぶりに日本球界復帰した15年に11勝8敗、防御率2.55。ソフトバンクに復帰した和田毅は16年に15勝5敗、防御率3.04で最多勝に輝いている。だが、現役メジャーリーガーが日本でも勝てるかと言ったら、そんな甘い世界ではない。松坂大輔、岩隈久志など球界を代表する好投手たちはNPBに復帰後、故障などで満足のいく数字を残していない。

「田中は2ケタ勝利が御の字だと思います。球の勢いで言えばオリックス・山本由伸、ソフトバンク・千賀滉大の方が上だし、対戦する相手球団も『田中に抑えられたくない』いう意地を前面に出してくる。打撃不振に苦しんだ中田翔が田中から今季初アーチを打ってダイヤモンドを一周した後に、珍しくガッツポーズをしたのが象徴的なシーンです。これからどんどん調子を上げていくと思いますが、全てを背負わせるのは気の毒でしょう。再び故障で離脱するのが球団にとって一番痛手なので、先発ローテーションで1年間回ることが最も重要で数字は後から自然についてくると思います」(在京スポーツ紙デスク)

 田中はスーパーマンではない。13年の幻影を追いかけるのではなく、32歳の円熟味の投球を堪能したい。(梅宮昌宗)

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