公開157日間で動員2812万人、興収387億円を記録した映画「鬼滅の刃」。その続編を描く、テレビアニメ第2期の放送が年内に予定されているなど、勢いはとどまりそうにない。
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アニメコラムニストの小新井涼さんは、「鬼滅の刃」のヒットを「鬼滅でしか成し得なかった要因がある」と分析する。小新井さんの著書『鬼滅フィーバーはなぜ起こったか? データで読み解くヒットの理由』(インプレス)から、社会現象となった「鬼滅の刃」が日本、海外のアニメ市場でどう評価されてきたのかを紹介する。
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『鬼滅の刃』ブームのアニメ業界への影響をみてみましょう。
火付け役となったのは2019年のアニメ放送でした。それをきっかけに生まれたブームは、アニメ業界において具体的にどのような数字を残し、どんな影響をもたらしたのでしょうか。
■アニメの映像ソフトの売り上げ
紙の出版不況と同様に、近年アニメの映像ソフトの売り上げも減少傾向にあります。
そんな中でも「鬼滅の刃」は、7月31日発売の『鬼滅の刃1(完全生産限定版)』Blu-ray DiscとDVDの売り上げが、2019年12月23日付けの記録で既に2万枚を突破していました(ORICON NEWS)。これは1万枚を超えれば大ヒットと言われる昨今のアニメ映像ソフトの中では、大成功といえる数字です。
加えて、アニメ放送終了後に行われたイベント「鬼滅の宴」を収録したBlu-ray DiscとDVDも、初週でそれぞれ1万枚を超える好売り上げをみせ、話題となりました(まんたんウェブ)。
かつては製作費回収のための主要項目であった映像ソフトの売り上げですが、前述の通り現在は減少傾向にあります。
それ以外の要素もあるものの、やはり大きいのは、定額見放題サービスによって、決して安くはない映像ソフトを買わずとも、いつでも全話視聴できるという環境です。鬼滅においても、ヒットの要因として挙げるくらい配信環境が整っており、映像ソフトを購入せずとも、各サービス千円前後からそれ以下の月額で、アニメ全話が見放題となっています。
それにもかかわらず、映像ソフトは映像ソフトとしてこれだけの販売数があったことからは、鬼滅が原作コミックスの売り上げのみならず、アニメの映像ソフトに関しても、昨今の深夜アニメ市場の中では大成功とされる記録を残したといえそうです。