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新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、大阪府と東京都が菅政権に緊急事態宣言の要請をするべく動きだした。大阪府の吉村洋文知事は宣言が出されれば、直ちに人の動きを抑えるために飲食店や大型商業施設などに休業を求めたいと会見で語った。
一方、東京都の小池百合子知事も4月20日、自民党本部を訪問し、二階俊博幹事長と面会。小池知事は緊急事態宣言の発出について、「国との連携を図ることによって感染の拡大が収まる、ベストな方法は何か。連携を取らせていただく中で進めていきたい」と党本部で記者団に明かした。
しかし、官邸と菅義偉総理の動きは鈍いという。
「20日夜に5大臣会合が一応は開かれましたが、何も決まりませんでした。推移をみて週内に総理が決めると先送りです。緊急事態宣言は二階幹事長、加藤官房長官、西村経済担当相、田村厚労相もやるべきと言っています。しかし、菅総理は乗り気ではない。官邸はいま、総理のワンマン体制なので必然的に茶坊主の和泉補佐官や坂井官房副長官も後ろ向きになる。表向きの理由は、宣言を出して休業要請すると、多くの国費が必要となり、経済的にダメージが大きいこと。麻生財務相の顔色をうかがい、経済最優先を掲げていますが、さすがに今の状況でその理屈はおかしい」(官邸関係者)
本当の理由は別のところにあるという。前出の官邸関係者が続ける。
「このまま緊急事態を発出すると、今回も一番先の18日に言い出した小池知事の手柄になるからです。だからこそ、都道府県に『まずは飲食店の見回り隊をしっかりやれ!』『繁華街の練り歩きを知事自身がやったのか』などと難癖をつけ、要請をいったんは保留にしました。(要請とは関係なく)『総理が自ら決断した』と演出して発出したいそうです」
菅総理の「小池嫌い」は有名で永田町、霞が関で知らぬ者はいないという。今年1月8日に発出された首都圏1都3県を対象とする緊急事態宣言は、グズる菅総理が小池知事に押し込まれる形となった。小池知事の政治手腕を評価する声は上がる一方、官邸では「わきまえない女」として酷評された。