側近への捜査で菅政権に激震が走っている。
秘書が選挙区内の有権者に香典を渡したなどとして公職選挙法(寄付の禁止)違反容疑で不起訴処分(起訴猶予)となり、検察審査会から「起訴相当」と議決された前経済産業相の菅原一秀衆院議員(59)に対し、東京地検特捜部が任意で事情聴取を開始した。
再捜査の過程で菅原氏の事務所が選挙区内の祭りなどで住民らに現金を配った疑いも浮上し、立件を検討しているという。
菅原氏は買収事件で公判中の河井克行元法相と同じく菅義偉総理の側近だ。昨年の自民党総裁選で無派閥の会の取りまとめなどをしていただけに立件されれば、菅政権にとって打撃となる。
菅原氏は2017~19年、選挙区内の有権者延べ27人の親族の葬儀に、枕花名目で生花18台(計約17万5000円相当)を贈り、秘書らを参列させて自己名義の香典(計12万5000円分)を渡していたという。
公職選挙法では、地元の有権者への寄付や食事提供など一切を禁じている。菅原氏の地元の支援者は捜査をこう恐れる。
「菅原氏は、地元の祭りやイベント、町内会にはこまめに顔を出していた。そして祭りなどには1万円などの寄付を出していた。イベントも本人が参加ないが、参加料だと秘書が数千円を置いて帰ることもあった。菅原氏自身から祭りで寄付1万円を貰ったこともあります。現金なのでいいのかとは不安になりましたが、地元の大臣になる先生が違法なことはしないと思っていた」
菅原氏の地元への捜査は水面下で進んでいたようだ。
「検察審査会では香典など約33万円が問題視された。さらに捜査をすると、幅広くカネをばら撒いていた疑惑が出てきた。これまでの捜査でもばらまきの証言もある。そこで菅原氏の選挙区、練馬区を中心に捜査を進めている」(捜査関係者)
菅原氏が経済産業相に在任中だった2019年10月に週刊文春の報道で明らかになった疑惑。しかし、2009年8月に週刊朝日も、安倍晋三前首相ら自民党有力政治家に06年~07年の間に菅原氏がメロン、カニ、ロイヤルゼリーなどを配った贈答リストを特報していた。