河尻:そう言えば、ライムスターの本の中で宇多丸さんが、「自動販売機じゃダメなんだ」って話されてたのが印象に残りましたね。サバイブしていくためには、「生身で戦えるプリミティブな強さが必要」ということも書かれていて、僕が石岡瑛子さんの評伝で伝えたかったメッセージにも重なるところがあるなと思いながら読んでました。自分のアンテナに敏感であること、そこからブレないことは大切ですよね?

宇多丸:その人なりの切り口があるほうが新しいし、カッコいいんじゃない?って思うんです。だから、ライムスターも僕らが面白いと思う方向、興味が湧く方向に結局行ってしまう。

 ヒップホップって、トレンドの移り変わりを楽しむ文化でもあるけど、いざ自分が表現者に回ったときは、ヒップホップルールに縛られたくない思いもあって。普遍を志向してしまいますね。難しいことかもしれないけど考えています。「100年後も歌える歌を」ってね。

宇多丸(うたまる)
1969年生まれ。東京都出身。早稲田大学在学中の89年にラッパーのMummy-D、DJ JINとの3人でHIPHOPグループRHYMESTER(ライムスター)を結成。2020年12月に『KING OF STAGE~ライムスターのライブ哲学~』を刊行。また、『MTV Unplugged :RHYMESTER』を4月28日にリリース。
現在の担当番組は「アフター6ジャンクション」(TBSラジオ月~金曜18時~21時)、「プレイステーションpresentsライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ」(TBSラジオ木曜21時~21時30分)、「バラいろダンディ」(TOKYO MX 金曜日21:00~21:55※隔週出演)。

河尻亨一(かわじりこういち)
編集者。1974年生まれ。大阪市出身。早稲田大学卒。美大予備校講師をへてマドラ出版入社。雑誌「広告批評」在籍中には、広告を中心に多様なカルチャー領域とメディア、社会事象を横断する数々の特集を手がけ、国内外の多くのクリエイター、企業のキーパーソンにインタビューを行う。現在は取材・執筆からイベント、企業コンテンツの企画制作ほか、広告とジャーナリズムをつなぐ活動を展開。カンヌ国際クリエイティビティフェスティバルを取材するなど、海外動向にも詳しい。2020年11月、評伝『TIMELESS 石岡瑛子とその時代』を刊行。訳書に『CREATIVE SUPERPOWERS』がある。

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