室井佑月・作家
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イラスト/小田原ドラゴン
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 作家の室井佑月氏が、政府は国民世論を気にして、思いつきで判断していると批判する。

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 先週のコラムに、自民党の二階幹事長が4月15日、TBSのCS番組の収録で、東京五輪・パラリンピックについて、「これ以上とても無理だということだったらこれはもうスパッとやめなきゃいけない」と発言した本意はどこにあったのか、というようなことを書いた。

 選挙が近いから、国民世論におもねってそういう発言をしたのかと。じつは二階氏だけじゃなく、菅首相も国民世論を非常に気にする方だと思っている。

 緊急事態宣言を発令したのも、まん延防止等重点措置を出したのも、あたしたちの「ほんとうにそれでコロナは収束するの?」という声に押されてだった(天敵の小池百合子さんより先に、というのもあったかも)。そんなもんはリーダーシップでもなんでもない。

 感染者が何人、もしくは何人の検査をして陽性率がなん%だったら、緊急事態宣言やまん延防止措置を発動するのか? 感染者が何人、もしくは何人の検査をして陽性率がなん%だったら、それを解除するのか? 緊急事態宣言とまん延防止措置との線引きはどこにあるのか。今もってあたしたちに明確な説明はない。

 説明することができないからだ。世論の反応などを鑑みて、すべて思いつきで判断しているに違いない。

 彼らの考えていることは、自分らの選挙のことだけ。東京五輪も、新型コロナウイルスも、選挙に絡めて、付随しての物事だ。

 だから選挙後、日本はどうなっているか、国民はどうなっているか、ということに対し、彼らの心が見えてこない。

 東京五輪があってもなくても、選挙は10月には終わる。そしてそれまでに、ワクチン接種は終わっていない? 選挙に勝って国民におもねる必要のなくなった政権が、相変わらずPCR検査も十分に行わないまま、ワクチン接種を迅速に進める努力を放棄したり、去年のGo Toのようなむちゃをしたりしたら、世界中で感染が沈静化していく中で、日本だけ感染が爆発してしまうかもしれない。

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