ちなみにここで、伝記ではなく誰か学校の友達の例を挙げて、誰々ちゃんは挑戦しているよ、頑張っているよ、と比較してしまうと、子どもは他人の軸を参考に自分を測ってしまうため、自己肯定感が下がりやすくなります。
ですから、しなやかマインドセットの人間の行動を見せるには、 過去に存在した実際の偉人が、最も好ましいのではないかと思っています。
いくつか例を挙げてみましょう。
有名な話ですが、エジソンは100回以上実験を失敗しても、それを失敗とは認識せずに「うまくいかない方法を発見した」と捉えて、どんどん挑戦していきました。その結果、電球をはじめ、蓄音機や映画を観るキネトスコープなど、さまざまなものを発明しました。
西郷隆盛は、2度も島流しにあいましたが、そこから薩長同盟を結び、明治維新を成し遂げました。
ナポレオンも、最初は下級貴族でいじめられっ子という状況でしたが、一人ぼっちでもたくさんの本を読み、血統を重んじていたフランスで、最終的に皇帝にまで上り詰めました。
千円札の人として子どもにもおなじみの野口英世は、幼少期は火傷で左手の5本の指がくっついたような状態になってしまい、学校をズル休みしてしまうほど周囲にバカにされましたが、それが悔しくて一生懸命勉強に励み、世界に名を残す細菌学者になりました。
このように人間は、どんなに厳しい状況下で大きな困難に出くわしても、挑戦し行動を続けていけば、想像が及ばないところまで大きく成長できるようになるのです。
■やたらと「水」に興味がある息子。いまハマっている絵本は『しずくのぼうけん』
うちの息子も、けん玉をした時など「自分にはできない」と言ってきたことがありますが、では、「無理だと思うほどの挑戦と努力をしたのか?」と聞いてみると、実際はほとんど何もしていなかったりします。
たった数回できなかっただけで「無理」と決めつけてしまうのは、人生を歩んでいくうえであまりにもったいない考え方です。
息子は4月から小学2年生になったばかりで、政治が絡んだ西郷隆盛のような小難しい話にはまだ目を向けてくれません。
ただ、やたらと「水」に興味をもっているため、しょっちゅう、『しずくのぼうけん』という本を読んでほしいとせがんできます。
このしずくも、ストーリーの中で、蒸発したあと雲の上から落ちたり、水のくせに溺れたりと、たくさんの困難にあうのですが、それを乗り越えて前に進み、どんどん冒険に出かけていきます。これはこれで、しなやかマインドセットの良い例になる……といいなぁ、なんて思いながら、願いを込めて毎晩のように読み聞かせています。