大学に在籍しながら別の大学の受験勉強に励む“仮面浪人”。通常の浪人とは違い、大学生の「仮面」を付けながら大学受験を続けるというマイノリティーなため、肩身が狭い思いをすることもある。
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そんな仮面浪人たちが集う「仮面浪人・再受験交流会」というサークルがある。早稲田大学に本拠を置くサークルとして始まったが、現在は早大生が3割ほど。慶応やMARCHの学生も在籍するインカレサークルだという。いったいどんな組織なのか。サークルの代表や、今春に東大合格を果たした会員に取材した。
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まず話を聞いたのは、仮面浪人たちを束ねるサークルの代表、30代の松尾一樹さん(仮名)。学生ではなく、1980年代生まれの社会人だ。大学在学中の2007年にサークルを創設し、以来、10年以上にわたって仮面浪人生のサポートをしてきた。年齢や職業は明かさないことを条件に取材に応じてくれた。その理由をこう話す。
「私もかつては仮面浪人でしたが、過去のことであっても、仮面であることを明かしたい人はほとんどいません。仮面にまつわる話は非常にセンシティブなのです」
素性に関する“仮面”は外さないものの、活動内容については包み隠さず語ってくれた。
このサークルには、毎年30人ほどの仮面浪人生が入会。基本的には1年で巣立っていくので、1年ごとにメンバーは入れ替わる。これら「新入生」を迎える形で、仮面経験者の有志スタッフ10人ほどがサークルの運営を担い、交流の促進や勉強のサポートに努めている。
2007年の創立以来、計30人以上の東大合格者を輩出してきたが、志望校は東大に限らない。医学部や京都大学を目指す早慶の学生や、早慶志望のMARCHの学生など幅広い。
主な活動は、月に1回の食事会での交流だ(現在は感染対策のため隔月。人数を制限して開催)。会員同士での情報交換や、親睦を深めることを主目的とする。
サークル幹部の一橋大学の4年生(23)は「参加する前は正直、怪しいなと思いました」と振り返る。
「でも、行ってみたら全然怪しくなくて、飲み会では受験の話や勉強法の話題で盛り上がれました」