そして、こうした流れを加速させるかのように4月28日、福井県の杉本達治知事が、関西電力美浜原発3号機と、高浜原発1、2号機の3基の再稼働に同意した。これは運転40年を超えた原発の初の再稼働となる。
原発の運転可能期間に関しては、東電福島原発の事故を受ける形で、原子炉等規制法改正で、原則として40年とされていたのである。
読売新聞などは、日本の原発は1990年代以前に建設されたものが多く、今後、次々と運転40年を迎えるため、延長措置で当座をしのぐだけでなく、本来は新増設を検討することが安全性の観点からも望ましい、と強調している。
だが、2013年にフィンランドのオンカロを視察した小泉純一郎元首相は、オンカロに運び込まれた使用済み核燃料が、無害化するのに10万年かかると知って、原発ゼロを強く打ち出すことになった。
日本にはそのオンカロを開発する計画もないのである。要するに、トイレのないマンションだ。これでリプレースなど認められるわけがない。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2021年5月21日号