


東京五輪に乳幼児や子どもを連れて来られないことにより、大会出場をためらう海外アスリートたちがいる。新型コロナの収束が見込めないなか、日本政府などは3月、海外からの一般観客の受け入れを断念。それに伴い、アスリートの子どもや家族も東京に同行できないことになったからだ。わが子をとるか、五輪を取るか――その狭間に立たされるママアスリートたちの心境は複雑だ。
【写真】米ファッション誌の表紙も飾ったことがあるアレックス・モーガン選手と、愛娘のツーショット
サッカー女子アメリカ代表であるアレックス・モーガン選手(31)は、昨年5月に娘チャーリーちゃんを出産。9月にはイングランドのトッテナムに加入し、オランダやフランスへの遠征にもチャーリーちゃんを同伴していたという。12月にはトッテナムを脱退してアメリカに帰国。東京五輪にチャーリーを連れてくることができない状況について、4月、現地メディアにこう打ち明けていた。
「母親が競技中に子どもと一緒にいられる選択肢を持つことは大切なこと。幸運なことに、これまで私はチャーリーを連れてどのキャンプにも、試合にも一緒にいることができていた。母親として(子どもに)支えられていると感じることは重要。東京五輪に向け、また五輪の場でもこの思いを持ち続けたい」(米USAトゥデイ・ウェブサイトから)
マラソンのアメリカ代表、アリフィン・トゥリアムク選手(32)には、今年1月に生まれたばかりの第一子となる娘ゾーイちゃんがおり、「娘と離れることを想像できない」とし、「これまでになく課題の多い五輪だが、母親や家族、子どもが必要とする配慮と支援がなされることを願う」と話している(米NBCスポーツ・ウェブサイトから)。
陸上女子で歴代単独最多6個の五輪金メダル、3個の銀メダルを保持するアリソン・フェリックス選手(35)は、2歳の娘カムリンちゃんがいる。「娘が1歳になる前に競技に挑んだ時、母親は子どものそばにいる必要があると感じた。こうした母親は考慮されるべき」と公の場でコメントした。さらに女子テニスのセリーナ・ウィリアムズ選手(39)は、3歳の娘オリンピアちゃんと「24時間以上離れたことがない。それが答えだ」として、東京五輪の出場辞退を示唆するコメントを5月10日の会見で述べている。