※写真はイメージ(gettyimages)
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ゴリラママさんは、息子の課題点を望ましい行動に変えていくためのメモを貼っている。視覚に訴えるよう、カラフルに短い文言が基本。1日にできるお願い事は三つと明示
ゴリラママさんは、息子の課題点を望ましい行動に変えていくためのメモを貼っている。視覚に訴えるよう、カラフルに短い文言が基本。1日にできるお願い事は三つと明示

 発達障害の症状改善には、早期診断とともに早期支援が重要とされる。だが、療育事業所の情報が不足しており、我が子に合った施設選びに苦労する親たちは多い。そうした中、注目されているのが家庭で実施できるトレーニングプログラムだ。「発達障害」を特集したAERA 2021年5月24日号から。

【写真】視覚に訴えるように家の中にメモを貼る対策も

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 療育を巡る現状に課題も多い。

都内在住の母親(42)は、息子(7)が6歳の時にADHD(注意欠如・多動性障害。発達障害の一つ)とASD(自閉スペクトラム症)の合併と診断された。二十数件の療育施設に電話したが、枠が埋まりことごとく断られた。今春、小学校入学を機に滑り込みで入れたのは、集団療育を提供する民間の放課後等デイサービス。今は週に2日、そこに通わせている。

 発達検査を受けたきっかけは、保育園の先生から検査をすすめられたからだ。モノを投げ、友達をたたくなど、園側が対処に困る行動が続いた。検査の結果、知的発達は一般レベルよりむしろ高かった。一方で、思考の切り替えが苦手とわかった。

 入学当初から、ちょっかいを出す級友にキレて小競り合いになるなど、学校からの呼び出しは絶えない。療育で息子が苦手な対人関係を強化できればというのが、母親の願いだ。

 だが、通わせている施設にはいろいろな特性の子がいる。「苦手なことが全然違う子が同じ療育を一斉に受けて、意味があるのか」と思う。でも、「療育難民」が周りにはざらにいる。「入れただけで、御の字と思うべきなのか」。母親のモヤモヤは消えない。

子育ての支援体制を

 発達障害の専門医が少ない中、「最初の一歩」の支えが圧倒的に足りない。『発達障害 最初の一歩 お友だちとのかかわり方、言葉の引き出し方、「療育」の受け方、接し方』(中央公論新社)の著者で、千葉市にある松永クリニック小児科・小児外科院長の松永正訓さんは、本来、子育てに不安を抱える親子を応援しながら長い目で伴走するのが、小児科のかかりつけ医の役割だと言う。

「親御さんは子育て上の困難を抱え込まず、本当に信頼できるかかりつけ医を見つけてほしい。一方で、小児科の医師も発達障害についてもっと勉強して、子育て支援の面でも本来のパワーを発揮すべきです」

 療育事業所の情報不足が大きな壁になっているという。各事業所の療育メニューや成果は、実際に療育に通う子の親たちにヒアリングを重ね、口コミ情報を蓄積する自助努力で把握しているのが現状だ。

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