ぺあすくでは、親の手助けがあっても出来なかったら「-」、手助けがあって出来たら「P」、手助けなしで出来たら「+」をタッチ(写真:NPO法人ADDS提供)
ぺあすくでは、親の手助けがあっても出来なかったら「-」、手助けがあって出来たら「P」、手助けなしで出来たら「+」をタッチ(写真:NPO法人ADDS提供)
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AERA 2021年5月24日号より
AERA 2021年5月24日号より

 一口に発達障害と言っても、子どもによって特性は異なる。それだけに個別の支援が理想的だが、施設ではなかなか対応しにくい。そんな歯がゆい現状を、親が子どもに合った最適な支援ができる「ぺあすく」が変えつつある。AERA 2021年5月24日号から。

【図】ぺあすくを利用すれば療育結果の見える化にもつながる

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「ぺあすく」とは、子どもと最も長い時間を過ごす親が「我が子の専門家」になる手助けをする仕組みだ。親子共学のスタイルで、ICTにより個別支援を容易にした。言わば、親も療育者も負担を軽くしながら取り組める、療育の「シェアリング」だ。

 兵庫県の小児科医の安藤康一さんは、児童発達支援センター「ゆーかりの森」の療育にこの仕組みを取り入れている。個別支援を般化する意義をこう語る。

「一人ひとり特性の異なる発達障害は、個別支援が理想です。何カ所も見学に行きましたが、多くの施設では療育者の手が回っていないのが実態です。親御さんですらうまくコミュニケーションが取れない、いわゆる自閉症(現在はASDに含まれている)の子どもであれば、2~3人のセラピストでそれよりも多い人数に対応するのは、不可能に近いと思います」

「ぺあすく」の元になるシステムは、子どもにより、獲得できている行動とそうでない行動とを分けたプロファイルが、一目でわかるよう設計されている。療育結果もグラフで見える化され、記録としても積み上がる。スキルの高いセラピストに依存しなくても、親が我が子に個別の“最適解”となる支援を把握しやすい利点もあるという。

「発達障害の早期発見は必要ですが、診断はその基準がある一定の年齢に達しないとわからない項目が多く、早期には実質難しい。でも、このシステムを使えば、診断未満の早い段階から、子どもの特性に応じた生活の支援ができます。我が子に見合う支援法を習得した親が、今度は幼稚園など周りにその方法と実践結果をセットで説明できる」

 現状、ABA(Applied Behavior Analysis=応用行動分析)に基づく療育は情報が得にくい。NPO法人ADDSは4月に療育、診断未満の人などが手軽にオンラインで個別の発達相談ができる新たなサービス「kikotto」を開設した。

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