賛否はともかくコントは大成功だった。さぞ楽しく演じたのかと思いきや、収録前は嘔吐するくらいの緊張状態で、「収録中の記憶はほとんどないんです」。あの場面を見られるようになるまで2年かかった。
放送以降、芸能人の不倫話が出ると、必ずといっていいほどネタにされ、出演依頼がくる。断ることはない。
「嫌だな、と思うことはないです。逆に調子に乗らないように気をつけています。一人で乗り越えられたわけじゃないから。その恩を返さなければならない、という思いは強くあります」
芸能界にいくと決めたときに高校の担任に言われた言葉を忘れないでいる。
「華やかなときは謙虚に。苦しいときには我慢を」
テレビ復帰後、気づいたことをメモするようになった。芸人の会話、日常で感じたこと、戒めの言葉……。書き込んだノートは2冊になった。
「俳優をやっていく上で、お笑いでも何でも無駄になることは何もないので」
今は不倫役が圧倒的に多いが、いずれやりたいと思う役は山ほどある。(本誌・矢崎慶一)
※週刊朝日 2021年6月4日号