手書き文字の薄弱化は正しい鉛筆の持ち方を教えることで克服できるという声もある。長崎大学教育学部で書写指導を長年研究する鈴木慶子教授は、子どもの字が薄くなっていることについてこう推測する。
「本来は余分な力をかけずに書けるというのが正しい書き方です。手指の力というよりも、正しく鉛筆が持てていないというのが原因では」
鉛筆で文字を書く学習が正式にスタートするのは小1から。入学したての児童の中には鉛筆の持ち方を知らない子も多いという。
「鉛筆を握り込むように持って書く子も見られます。正しい持ち方や、手指の動かし方を教えることでしっかりした字が書けるようになります」(鈴木教授)
■持ちやすい太さも考慮
力任せに書くと手が疲れやすくなるため、ノートを取るだけで一苦労となる。
「2Bの方が芯が軟らかいため、楽に書けるということはありますが、正しい鉛筆の使い方を習得すれば、Bの濃さでも十分に書けるようになります。人が読める文字を書けるようになるには、鉛筆の正しい持ち方、姿勢や書き方など、からだに負担をかけずに書ける方法を教えることが大事だと思います」(同)
鈴木教授によると、濃さを調節する前に、持ちやすい太さの鉛筆を使うという方法もある。「教職課程の学生にすすめているのはドイツの文具メーカーが出している鉛筆です。少し太めの作りでドット柄に削られた部分に指を置くと正しい持ち方ができるようになっています。日本のメーカーでもこうした工夫を施した鉛筆が出てきているので、文字が濃く書けないというお子さんは試してみるのもよいのでは」
東京都中野区に住む小6の子を持つ母親からはこんな意見も寄せられた。
「そもそも、学校もデジタル化が進んできています。手書きの必要性が無くなるのでは?」
コロナ禍で前倒しになった国の「GIGAスクール構想」で、国内の公立小学校では9割を超える学校でタブレットやノートパソコンといったデジタルツールの導入が始まった。
「最近は宿題も学校で渡された端末を使ってやっています。タイピングが主流になったら、書くこと自体が減りそうです」(中野区の母親)