「『即日手術で術後の来院不要』といった利便性を強調するクリニックもありますが、本来は、術後1~2日の間に血腫などができていないか医師が確認すべき。トラブルを回避するためにも、術前術後のケアについてはよく確かめてください」

 一方、肢体不自由や認知症になって、陰部を洗ってもらわざるを得なくなった場合の不安は残る。例えば、介護施設によっては、「おむつの中に排尿・排便したまま放置される」「入浴時に陰部をしっかり洗ってもらえず不快な状態が続く」といったことも起こり得るのだろうか。

 これまで都内の特別養護老人ホームや訪問入浴などで、入浴介助や排泄ケアに携わってきたケアマネジャーの30代女性は、「よほどの人員不足でない限りは、どの施設も陰部洗浄はこまめにやっているはず」と話す。

「肌や性器に排泄物がついたままだと、皮膚がかぶれてかゆみやただれが出たり、尿道炎などの尿路感染症になることもあります。そのため、おむつ交換と洗浄は、極力個人のタイミングに合わせるのが基本。ただ、人手が足りない施設では、3~4時間に1回交換するなど時間を決めて行う場合もあります」

 おむつ交換にかかる時間は1回5分ほど。陰部の洗浄自体は数十秒で終わる。排尿時は表面をぬるま湯でさっと流す程度だが、入浴時は亀頭や包皮の内側に汚れが残らないように丁寧に洗う。

「介護する側は『汚れやにおいがあって当たり前』と思っているので、そのことで嫌悪感を覚えることは全くありません。むしろ汚れが気になる部分があれば、早めに言ってもらったほうが助かります。洗浄時に言うのは気が引けるようであれば、信頼できる看護師や介護スタッフに相談して、毎回言わなくてもきちんと洗ってもらえるように頼んでみてください」

(ライター・澤田憲)

週刊朝日  2021年6月11日号より抜粋

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