コロナ禍が収束の兆しを見せない中、東京五輪・パラリンピックが間近に迫っている。現時点では有観客を見込んでおり、入場時に「陰性証明書」の提示を求める案が政府内で検討されているという。都内の学校の児童・生徒らも観戦を予定。児童・生徒らにPCR検査が求められることになった場合、学校現場の負担は相当なもの。教員からは「考えられない」といった声が挙がっている。
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「今でさえ、目の前の対応でいっぱいいっぱい。とても夏の五輪のことまで考えられる状況ではありません」
こう話すのは、都内の公立小学校に勤める30代男性教師だ。緊急事態宣言が6月20日まで延長されたため、宣言の延長に伴い、急きょ水泳の授業など授業スタイルの変更を余儀なくされ、時間割調整など日々対応に追われているという。五輪観戦で生徒らにも陰性証明書が求められれば、さらなる負担が増えると懸念する。
学校行事として教師が引率して児童・生徒が東京五輪・パラリンピックを観戦する計画があることについては、AERAdot.で「東京五輪児童・生徒81万人観戦計画に変更ナシ『誰が責任をとるのか』 保護者や教員の不安」(5月22日)と報じた。この時点で、組織委が大会の開催中止か無観客開催を決めない限りは、観戦計画を実施する見込みだと東京都教育委員会は明言していた。その後、出てきたのが政府の陰性証明案だ。
報道によると、観客に求めるのは、PCR検査の結果など「陰性証明書」の提示。1週間以内に取得したものを想定しているという。ワクチンを接種した人については、証明書は求めず、接種の証明書を求めるそうだ。
五輪観戦で児童・生徒らにも陰性証明書が求められれば、さらなる負担が増えると現場の教員らは懸念する。
「うちの学校では、7月25日に5、6年生が五輪、8月28日に3、4年生がパラリンピック観戦を控えています。ただでさえ土日の休日出勤を強いられるひどい日程なのに、8月下旬の前の週に子どもたちを集めて検査をすることになれば、『一体誰がやるの?』という話になります。お便りを出すといった事務作業も必要ですね……」(前出の男性教諭)