そもそも予定されている五輪観戦行事については「ものすごく負担」だという。
「細かいことを詰めるのは、結局は学校現場です。保護者に安全上の説明を求められることもあるでしょうし、そのための資料も作らなければいけない。もう日が近いのに、現場には何も情報がおりてこない」(同)
観戦日の子供たちの安全管理についても、当然ながら不安を感じている。男性教諭によると都教委から学校宛に送付された資料には8月28日のオリンピックスタジアムに100校を超える児童・生徒らが集まる予定との記載があり、規模の大きさに驚いたという。暑さも懸念事項だ。
「猛暑の中、10歳前後の子を、マスクをしたまま連れ歩くのは不安です。もし熱中症で倒れたり、コロナに感染したりしたら、学校側が責任を持つことになるのでしょうか。都や組織委は、形式上は学校側の判断にゆだねて、各地域の教育委員会が認可することになっていますが、実際は半ば強制です。それで何かあっても、都(自治体)に責任が及ぶことはないんでしょうね」(同)
都内の公立小学校に勤める30代女性教師も「検査のことなど到底頭が回っていません」と戸惑いを隠せない。
五輪観戦は希望制で5、6年生を対象としているが、どの競技を観戦するのか、場所はどこなのかといったことは未定だ。決まっているのは7月26日という日にちだけで、希望者もまだ募っていない。
「現場では情報はふんわりとした内容しか入ってこないのです。だから学校はいつも対応が周回遅れなんです。行政の見切り発車に振り回され、ついていくのがやっと。検査についても行政はギリギリまで状況を見極めたいのでしょうが、直前になって現場に振られても困ります」
『ブラック部活動』などの著書がある名古屋大学大学院准教授の内田良氏は、児童・生徒の感染リスクに懸念を示したしたうえで、「教員の働き方という観点から見ても、五輪観戦計画は非常に問題です」と警鐘を鳴らす。